カテゴリー:固定電話 解約

オフィスの固定電話廃止ガイド2026|値上げ対策と代替サービス比較

※本記事は2026年06月時点の情報に基づいています。

オフィスの固定電話は、2026年4月のNTT基本料値上げと2035年度のメタル回線廃止を機に、クラウドPBXやスマホ内線化への移行を前向きに検討すべき段階に入っています。ただし「廃止」とは電話をやめることではなく、より安く柔軟な仕組みへ「移行」することを指します。

この記事の要点

  • NTT東日本・西日本は2026年4月から加入電話の基本料を事務用で月額330円値上げし、2035年度までにメタル回線の加入電話を段階的に廃止します
  • 固定電話を廃止しクラウドPBXへ移行すると、物理的な機器が不要になり、社員のスマートフォンを会社番号の内線端末として利用できます
  • 現在の03・06などの市外局番付き番号は、番号ポータビリティ(LNP)を使えば移行後もそのまま継続利用できます
  • 2026年度のデジタル化・AI導入補助金を活用すれば、クラウドPBX等の導入費用の一部が補助対象になる場合があります
  • 注意点は「停電時の電源確保」「FAX・防犯システムの移行」「電話加入権が払い戻されない」の3点です

目次

オフィスの固定電話は廃止すべき?結論と判断の早見表

オフィス 固定電話 廃止

結論として、多くの中小企業・個人事業主にとって固定電話の廃止(移行)は前向きに検討する価値があります。理由は、固定電話を維持するコストが2026年以降に上昇し、2035年度には現在のメタル回線そのものが使えなくなるためです。

ただし全社一律で「即廃止」が正解とは限りません。自社の状況によって最適解は変わります。以下の早見表で、あなたの会社がどのタイプに当てはまるかを確認してください。

自社の状況 おすすめの方向性
テレワークや外出が多い スマホ内線化(クラウドPBX)への移行
拠点が複数ある クラウドPBXで番号・内線を一元管理
個人事業主・スタッフ数名 クラウドPBXで最小構成
FAXや防犯システムを多用 代替策を用意したうえで段階的に移行
当面コストを変えたくない 光IP電話へ切替えつつ廃止時期を検討

「固定電話廃止」という言葉のインパクトは大きいですが、実態は通信インフラの引っ越しです。番号も電話機能も失わずに、月々のコストと運用負担だけを軽くできる、と捉えると判断しやすくなります。

なぜ今オフィスの固定電話廃止が進む?NTTの3つの動き

オフィス 固定電話 廃止

固定電話の廃止が話題になっている最大の理由は、NTT東日本・西日本が固定電話網そのものを作り替えているからです。具体的には「IP網への移行」「2026年の基本料値上げ」「2035年度のメタル回線廃止」という3つの動きが同時に進んでいます。

動き1:固定電話網(PSTN)のIP網移行が2024年に開始

NTT東日本・西日本は2024年1月から、固定電話網(PSTN)のIP網への移行を開始しました。

ここで言うPSTN(公衆交換電話網)とは、従来のアナログ電話回線やISDN回線を用いた、物理的な交換機による電話網のことです。一方のIP網は、インターネットプロトコルを用いて音声をパケット化して送受信する通信網を指します。古い交換機を維持できなくなったため、NTTは音声通話をインターネット技術ベースの仕組みへ置き換えているのです。

この移行の身近な影響として、IP網移行後の通話料は全国一律で3分8.5円(税抜)に統一されました。これまで距離に応じて高かった遠距離通話料が下がる一方、電話網の世代交代が確実に進んでいることを示しています。

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動き2:2026年4月から加入電話の基本料を値上げ

NTT東日本・西日本は、2026年4月利用分から加入電話の基本料を値上げします。値上げ幅は事務用で月額330円、住宅用で月額220円です(出典:NTT東日本)。

一見すると小さな金額に見えますが、回線数が多いオフィスほど負担は積み上がります。たとえば事務用3回線なら月990円、年間で11,880円の純増です。「固定電話をなんとなく残している」状態が、2026年4月以降は毎年コストとしてのしかかってきます。

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動き3:2035年度までにメタル回線の加入電話を段階的に廃止

NTT東日本・西日本は2025年9月29日、メタル回線を用いた加入電話サービスを2035年度までに段階的に廃止すると発表しました(出典:NTT東日本)。メタル回線とは銅線を用いた通信ケーブルで、従来のアナログ電話やADSLなどで利用されてきたものです。

廃止の背景には、利用実態の激減があります。メタル回線の加入電話契約数はピーク時の1998年度から約80%減少し、固定電話の通話回数・通話時間はピーク時の2000年度から約96%減少しました(いずれも総務省の統計)。使う人が大きく減った設備を維持し続けることが難しくなり、光回線やモバイル回線への移行が国全体の方針として進められています。

あわせて注意:ISDN回線は2028年末に終了予定

メタル回線より先に区切りを迎えるのがISDN回線です。NTT東日本・西日本のISDN回線(ディジタル通信モード)は、2028年末までにサービス終了が予定されています。

FAXの一斉同報やレジ・EDIなどでISDNを使っている事業者は、メタル回線廃止(2035年度)より早い2028年末が一つの期限になります。該当する場合は、固定電話の見直しを2035年まで先送りせず、早めの計画が必要です。

オフィスの固定電話を廃止するメリットは?5つの利点

固定電話を廃止(移行)する最大のメリットは、通信コストと機器コストを下げながら、働く場所を選ばない電話環境を手に入れられることです。ここでは特に効果の大きい5つの利点を整理します。

①物理的な機器コストの削減
クラウドPBXはインターネット回線を利用するため、オフィス内に物理的なPBX(電話交換機)を設置する必要がなく、初期費用を大幅に抑えられます。クラウドPBXとは、インターネット上にあるPBX機能を使い、内線・外線・転送などの電話機能を提供するサービスのことです。

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②基本料・通話料のコスト削減
複数のメタル回線を1つのクラウドサービスに集約すれば、2026年4月からの基本料値上げの影響を受ける回線数そのものを減らせます。社員間・拠点間の内線通話を無料にできるサービスも多くあります。

③テレワーク・外出先への対応
会社番号での発着信を自宅や外出先のスマートフォンで行えるため、オフィスに固定電話を取りに戻る必要がなくなります。

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④スマホの内線化(BYOD)
クラウドPBXを導入すると、社員のスマートフォンを内線端末として利用できます。BYODとは、従業員が個人所有のスマートフォンやPCを業務に利用することで、専用の電話機を人数分用意するコストを抑えられます。

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⑤多拠点の一元管理
複数拠点の番号・内線・着信ルールをクラウド上の管理画面でまとめて設定できるため、拠点ごとに電話工事を手配する手間がなくなります。

固定電話廃止効果が大きいのは、テレワーク導入企業と複数拠点を運営する企業です。「電話番のためだけに誰かが出社する」「拠点ごとに電話設備を二重に持つ」といったムダを、固定電話の廃止によってまとめて解消できます。

オフィスの固定電話を廃止するデメリット・注意点は?

オフィス 固定電話 廃止

固定電話の廃止にはデメリットもあります。代表的なのは「停電時の電源」「FAX・防犯システムの移行」「電話加入権の扱い」の3点で、いずれも事前に対策を用意すれば乗り越えられます。抜けがちな技術的な解決策まで踏み込んで説明します。

注意点1:停電時の電源確保(UPSやモバイル回線)

従来のメタル回線は電話機への給電機能を持っていましたが、光回線やIP電話では停電対策(UPS等)が必要になります。

対策方法の1つがUPS(無停電電源装置)です。ルーターやONUに接続しておけば、停電時も一定時間は通信を維持できます。加えて、クラウドPBXならオフィスのルーター電源が落ちても、スマートフォンのモバイル回線(4G/5G)を利用すれば発着信が可能です。

つまり「固定の電源が落ちても、スマホ側で電話が受けられる」状態を作れるため、メタル回線時代より災害に強い構成にすることも可能です。

注意点2:FAXと防犯・連動システムの移行

FAXや防犯システム、火災報知設備、エレベーターの非常通報、レジ・カード決済端末など、電話回線に「連動」している機器は要注意です。固定電話を単純に解約すると、これらが動かなくなる恐れがあります。

技術的な解決策としては、FAXはインターネットFAX(送受信をメール・クラウドで行うサービス)への置き換えが基本です。防犯・非常通報系は、光回線対応の機器へ更新するか、専用回線・モバイル回線を別途残す方法があります。移行前に「電話回線につながっている機器の棚卸し」を行い、1台ずつ代替策を決めることが失敗を防ぐ鍵です。

注意点3:電話加入権は払い戻されない

意外と見落とされがちなのが電話加入権(施設設置負担金)です。IP網への移行に伴い電話加入権の価値は実質的に低下しており、NTTからの払い戻しは行われません。

つまり「加入権が戻ってくるから解約を待つ」という判断には意味がありません。加入権の有無に関わらず、自社にとってコストと利便性のバランスが良いタイミングで移行を判断するのが合理的です。

その他の注意点:インターネット環境への依存

クラウドPBX(固定電話アプリ)は、インターネット環境に依存します。回線品質が不安定だと通話品質に影響するため、移行前に社内の回線速度や無線LAN環境を確認しておきましょう。光回線やモバイル回線の二重化で、可用性を高めることもできます。

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固定電話を廃止したら代替手段は?クラウドPBXとスマホ内線化の仕組み

固定電話を廃止した後の代替手段の中心は、クラウドPBXによるスマホ内線化です。物理的な電話機や交換機を持たずに、スマートフォンのアプリで会社番号の発着信・内線・転送を行える仕組みが主流になっています。

仕組みはシンプルです。インターネット上のクラウドPBXが交換機の役割を担い、各社員のスマートフォンにインストールしたアプリが内線端末になります。外線着信はクラウドPBXが受け取り、設定したルールに従って担当者のスマホへ振り分けます。発信時は会社の代表番号を相手に通知できるため、個人の携帯番号を知られる心配もありません。

代替手段は、大きく次の2タイプに整理できます。

タイプ 仕組み 向いている事業者
クラウドPBX クラウド上の交換機+スマホアプリ 内線・転送が必要な法人、多拠点
光IP電話 光回線で固定電話番号を利用 据置の電話機を残したい事業者

なお「番号が変わるのでは」という不安はよくありますが、クラウドPBXや光電話に番号ポータビリティ(LNP)を利用して移行すれば、現在の03・06などの番号をそのまま利用できます。発着信の利便性を高めつつ、長年使ってきた会社番号を維持できる点が、現在の移行手段の大きな強みです。

通話品質についても、かつてのIP電話のイメージとは変わっています。VoIP技術の向上とブロードバンド回線の普及により、従来の固定電話と遜色ないクリアな音質で通話できるサービスが一般的になっています。

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スマホで会社番号を発着信できるサービス比較【2026年版】

オフィス 固定電話 廃止

スマホで会社番号を発着信できるサービスは、「番号の引き継ぎやすさ」「録音やCTIなどの機能」「導入の手軽さ」で選ぶのが基本です。ここでは代表的なサービスの特徴を比較し、どんな事業者にどれが向くかを示します。

まず、以下の表で主要サービスの特徴と向き不向きを比較します。

サービス名 提供会社 特徴 向いている人 注意点
03plus 株式会社グラントン スマホで全国の市外局番が使えるアプリ 固定番号を安く手軽に持ちたい 大規模な電話業務や複数回線の同時利用には不向き
テレワープ 株式会社フォレスタ 既存の固定電話番号をそのまま利用、スマホで発着信 今の番号を変えたくない NTTひかり電話が必須、接続台数が最大5台まで
INNOVERA 株式会社プロディライト 直感的なUI、全通話録音 通話記録を全件残したい 導入・運用コストの確認が必要
MOT/PBX 株式会社バルテック 専用アプリでスマホ内線化、CTI連携 顧客情報と電話を連携したい 最小プランが20IDからのため、少人数利用には割高になりやすい
アイブリー 株式会社IVRy 電話自動応答(IVR)を安価に導入 一次対応を自動化したい 高度なPBX機能は限定的

このほか、サイトの主要比較対象としてはナイセンクラウド、トビラフォンCloud、Zoom Phoneなども選択肢になります。サービスごとに番号の取り扱いや機能の範囲が異なるため、自社の優先順位に合わせて選びましょう。

機能で選ぶ際のポイント(録音・CTI・IVR)

機能面で迷う場合は、録音・CTI・IVRのどれを重視するかで絞り込めます。CTIは電話とコンピューターシステムを統合し、着信時に顧客情報をPC画面に表示する機能で、問い合わせ対応や営業で威力を発揮します。

通話トラブルやクレーム対策で全件の証跡を残したいならINNOVERA(株式会社プロディライト)のような全通話録音が強みのサービス、顧客対応の効率化を重視するならCTI連携に対応する03plusやMOT/PBX(株式会社バルテック)が候補になります。

電話の取りこぼしや一次対応の負担を減らしたい場合は、IVRの導入が有効です。IVRとは、着信時に自動音声で案内を行い、発信者の操作に応じて着信先へ振り分けるシステムのことです。

少人数で電話番に手が回らない事業者には、IVRを安価かつ手軽に導入できるアイブリー(株式会社IVRy)のようなサービスが向いています。「営業時間外は自動音声で案内する」「用件別に担当へ振り分ける」だけでも、対応漏れと折り返しの手間を大きく減らせます。

タイプ別のおすすめ

判断に迷う場合の目安は次のとおりです。

  • 今の番号を絶対に変えたくない人:既存の固定電話番号をそのまま使えるテレワープ(株式会社テレワープ)が有力
  • 顧客対応の品質と効率を両立したい人:CTI連携の03plusやMOT/PBX、全通話録音のINNOVERA
  • コストを抑えて自動応答だけ始めたい人:IVRを安価に導入できるアイブリー

▼03plus・テレワープ・MOT/PBXの詳細は以下を確認



2026年の補助金で固定電話の移行コストはいくら減る?シミュレーション

クラウドPBXなどの導入費用は、2026年度のデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)を活用することで一部を補助できる場合があります。ここでは、「補助金を前提にしたコスト削減シミュレーション」を具体的に示します。

まず前提として、固定電話を維持し続けた場合のコストは2026年4月以降に増えます。事務用3回線なら基本料値上げだけで月990円・年間11,880円の純増です。これに加え、メタル回線時代のビジネスフォンは将来的に更新・保守費用が発生します。

以下の表で、固定電話を維持する場合とクラウドPBXへ移行する場合のコスト構造を比較します(金額は2026年6月時点の一般的な目安で、サービスにより異なります)。

項目 固定電話を維持 クラウドPBXへ移行
基本料 2026年4月から月330円/回線の値上げ 集約により対象回線を削減
物理PBX・機器 設置・保守費が継続 物理PBXが不要で初期費用を抑制
内線通話 拠点間は外線扱いの場合あり 社員間・拠点間を無料化できる
外線通話料 距離別 IP網移行後は全国一律3分8.5円(税抜)が基準
補助金 対象外 デジタル化・AI導入補助金の対象になる場合あり

ポイントは、移行時に一度かかる初期費用を補助金で圧縮できれば、月々のランニングコスト削減効果が早く回収につながることです。

2026年度のデジタル化・AI導入補助金では、業務効率化を目的としたクラウドツールの導入費用が補助対象となる場合があります(出典:IT導入補助金2026 公式サイト)。

補助金申請の前に:gBizIDプライムの取得

補助金を活用する場合、申請には事前準備が必要です。デジタル化・AI導入補助金をはじめとする多くの補助金では、法人・個人事業主向けの認証アカウント「gBizIDプライム」が必要になります(出典:gBizID 公式サイト)。

gBizIDプライムは発行までに一定の期間がかかるため、補助金の公募開始を待ってから準備すると間に合わないことがあります。固定電話の移行を補助金とあわせて進めたい場合は、まずgBizIDプライムの取得から着手しておくとスムーズです。最新の補助対象・補助率・公募期間は、必ずIT導入補助金2026公式サイトで確認してください。

個人事業主・小規模事業者向け|最も安く始める最小移行ステップ

オフィス 固定電話 廃止

個人事業主や数名規模の事業者は、クラウドPBXのフル機能を導入せず、固定電話アプリ型サービスでミニマムに始めるのが最も安全で安価です。物理機器ゼロ・スマホ1台から、月額千円台で会社番号を持てます。

最小構成の考え方はシンプルです。「会社の番号で電話を受けて、こちらからも会社番号で発信できる」状態をスマホアプリだけで作り、固定電話機・交換機・配線をすべて持たないようにします。来客対応や据置電話が不要な業態なら、これで十分なケースが多くあります。

最小移行は、次の4ステップで進められます。

  1. 今の番号を残すか決める:既存の03・06番号を使い続けたいなら、番号ポータビリティ(LNP)に対応したサービスを選びます。新規でよければ、050番号や新しい番号を取得する手もあります。
  2. アプリ型サービスを1つ契約する:テレワープ(株式会社テレワープ)のように既存番号をそのまま使えるサービスや、固定電話アプリ型のサービスを1契約します。
  3. スマホにアプリを入れて発着信をテストする:自分の番号からテスト発信・着信を行い、音質と着信通知を確認します。屋外でモバイル回線でも使えるか試しておくと安心です。
  4. 固定電話・FAXを段階的に停止する:問題なく運用できたら、メタル回線の固定電話を解約します。FAXが必要ならインターネットFAXへ切り替えます。

この最小構成なら、初期費用をほぼかけずに2026年の基本料値上げや2035年度のメタル回線廃止の影響を回避できます。「まず1人・1番号で試し、問題なければ広げる」進め方が、小規模事業者にとって最もリスクの低い移行方法です。

固定電話廃止からスマホ移行までの手順は?5ステップ

固定電話の廃止からスマホ移行までは、「棚卸し→選定→番号移行→設定・テスト→旧回線解約」の5ステップで進めるのが基本です。順番を守ることで、電話が一時的に使えなくなる事故を防げます。

  1. 現状の棚卸し:回線数・電話番号・FAX・防犯や非常通報などの連動機器を一覧化します。電話回線につながっている機器を漏れなく洗い出すことが、移行成功の前提です。
  2. 移行方式とサービスの選定:クラウドPBX・固定電話アプリ・光IP電話のどれにするかを決め、録音・CTI・IVRなど必要な機能から具体的なサービスを選びます。
  3. 番号ポータビリティ(LNP)の申請:現在の番号を継続利用する場合は、移行先サービス経由でLNPを申請します。手続きには日数がかかるため、解約前に進めます。
  4. 端末設定・テスト:社員のスマートフォンにアプリを入れ、着信ルールや転送を設定します。停電対策としてUPSの設置やモバイル回線での発着信も確認しておきます。
  5. 旧回線の解約・切替:新環境で問題なく発着信できることを確認してから、メタル回線の固定電話を解約します。切替のタイミングを合わせ、不通期間を作らないことが重要です。

この5ステップで進めれば、番号も電話機能も失わずに固定電話を廃止できます。特に「LNP申請を解約より先に行う」点を守れば、会社番号を維持したまま安全に移行できます。

よくある質問(FAQ)

固定電話を廃止すると今の電話番号(03や06など)は変わってしまいますか?

変わりません。クラウドPBXや光電話に番号ポータビリティ(LNP)を利用して移行すれば、現在の03・06などの番号をそのまま利用できます。長年使ってきた会社番号を維持したまま、スマホでの発着信に切り替えられます。

2035年にメタル回線が廃止されると電話が使えなくなりますか?

電話が使えなくなるわけではありません。NTT東日本・西日本が光回線やモバイル回線への移行をサポートするため、回線の仕組みが変わるだけで電話サービス自体は継続します。2035年度の廃止までに、光IP電話やクラウドPBXへ移行すれば問題ありません。

停電時でもクラウドPBXは使えますか?

使えます。オフィスのルーター電源が落ちても、スマートフォンのモバイル回線(4G/5G)を利用すれば発着信が可能です。ルーターにUPS(無停電電源装置)を備えれば、停電時の通信維持をさらに強化できます。

クラウドPBXの通話音質は悪いですか?

悪くありません。VoIP技術の向上とブロードバンド回線の普及により、従来の固定電話と遜色ないクリアな音質で通話できます。安定したインターネット環境を用意すれば、音質を理由に移行をためらう必要はほぼありません。

電話加入権(施設設置負担金)は払い戻されますか?

払い戻されません。IP網への移行に伴い電話加入権の価値は実質的に低下しており、NTTからの払い戻しは行われません。そのため「加入権が戻るのを待つ」よりも、コストと利便性で移行時期を判断するのが合理的です。

固定電話の移行で補助金は使えますか?

使える場合があります。2026年度のデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)では、クラウドツールの導入費用が補助対象となる場合があります。申請にはgBizIDプライムが必要で、最新の条件はIT導入補助金2026公式サイトで確認してください。

まとめ:固定電話の「廃止」は番号を失わないコスト最適化

オフィスの固定電話廃止は、電話をやめることではなく、より安く柔軟な仕組みへ移行することです。2026年4月のNTT基本料値上げ(事務用月額330円)と2035年度のメタル回線廃止という2つの期限が迫る今、移行の検討を始めるのに適したタイミングだと言えます。

クラウドPBXや固定電話アプリへ移行すれば、番号ポータビリティ(LNP)で会社番号を維持したまま、社員のスマートフォンを内線化し、通信コストと機器コストを下げられます。注意すべきは停電対策・FAXや防犯システムの移行・電話加入権が戻らない点の3つですが、いずれも事前準備で解決できます。

まずは自社の回線と連動機器を棚卸しし、03plusやテレワープ、MOT/TEL、INNOVERA、アイブリーなどのサービスから自社の優先順位に合うものを選びましょう。個人事業主はアプリ型の最小構成から、法人はクラウドPBXと2026年度のデジタル化・AI導入補助金の活用を視野に、計画的な移行を進めてください。