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電話取り次ぎを効率化する方法|クラウドPBX比較2026年版

※本記事は2026年08月時点の情報に基づいています。

電話の取り次ぎは、クラウドPBX(インターネット上のサーバーで構内交換機の機能を提供するサービス)でスマホを内線化すれば、社員がどこにいても保留転送で取り次げるようになります

初期費用0円〜5万円、月額1IDあたり1,000円〜2,500円が相場で、数十万円〜数百万円かかる従来のビジネスフォンより導入コストを大幅に抑えられます。

この記事の要点

  • 電話取り次ぎの非効率は「取り次ぐ人の作業中断」と「不在時の折り返し発生」の2つが本質で、転送電話では解決しない
  • クラウドPBXの初期費用相場は0円〜5万円、月額は1IDあたり1,000円〜2,500円。従来型ビジネスフォンの数十万円〜数百万円と比べ導入障壁が低い
  • 2026年4月1日利用分からNTT東西の加入電話基本料が値上げ(事務用一律330円/月、住宅用一律220円/月)され、固定電話の維持コストが上昇する
  • NTT東西は2035年頃までにメタル回線での固定電話維持が困難になる見通しを示しており、移行の先送りには期限がある
  • 取り次ぎ自体をなくすならIVR(自動音声応答)併用型、既存のひかり電話を活かすならアダプタ型と、目的別に最適解が分かれる

電話の取り次ぎとは?何が業務を止めているのか

電話 取り次ぎ

電話の取り次ぎとは、代表番号にかかってきた外線を受けた人が、担当者へ通話を引き継ぐ一連の作業を指します。業務効率を落としている本質は「電話に出ること」ではなく、取り次ぐ人の作業が強制的に中断される点と、担当者が不在のときに折り返し連絡というタスクが新たに発生する点にあります。

一般的な取り次ぎは、次の流れで進みます。

  1. 代表番号に着信し、近くにいた人が受話器を取る
  2. 相手の会社名・氏名・用件を聞き取る
  3. 担当者の在席を確認する
  4. 在席していれば保留転送(通話を保留して別の内線端末へ引き継ぐ機能)で引き継ぐ
  5. 不在なら伝言をメモし、担当者へ口頭・チャット・付箋などで伝える
  6. 担当者が戻り次第、折り返し電話をかける

問題は4と5の分岐です。担当者が社内にいれば保留転送で3秒程度で終わりますが、外出中やテレワーク中だと5と6が発生します。この「伝言→折り返し」のルートに入った瞬間、1件の電話が最低でも3人分の時間(受けた人・担当者・相手)を消費します。

さらに見落とされがちなのが、取り次いだ人の側のコストです。集中して資料を作っていた人が電話で中断されると、元の作業に戻るまでに時間がかかります。1日10件の取り次ぎがあれば、それが10回発生します。電話機の前に人を張り付けておく発想そのものが、テレワークや複数拠点運営とは相性が悪いのです。

取り次ぎの「見えないコスト」を数字にすると

人件費として概算してみます。時給2,000円の社員が、1件あたり取り次ぎ2分+作業復帰のロス3分=5分を消費すると仮定します。

項目 計算 金額
1件あたりの時間コスト 5分 × 時給2,000円 約167円
1日10件の場合 167円 × 10件 約1,670円
月20営業日 1,670円 × 20日 約33,400円
年間 33,400円 × 12ヶ月 約400,800円

あくまでモデル計算ですが、取り次ぎ業務は年間40万円規模の人件費を消費している可能性があるという視点は、システム導入の投資判断で重要です。クラウドPBXの月額が1IDあたり1,000円〜2,500円であることを踏まえると、10人規模でも年間12万円〜30万円。取り次ぎの手間を削減できるなら、十分に元が取れる計算になります。

電話取り次ぎの方法は何がある?4つの選択肢を比較

電話 取り次ぎ

電話取り次ぎの手段は、転送電話サービス、ビジネスフォンの遠隔転送、クラウドPBX(スマホ内線化)、IVR(自動音声応答)併用型の4つに大別されます。結論として、テレワークや複数拠点を前提とするならクラウドPBXが標準解です。

以下の表で4つの方法を比較します。

方法 初期費用 月額 発信時の番号 内線通話料 向いている規模
転送電話(ボイスワープ等) 数千円 数百円+転送通話料 個人の番号 不可 1〜2名
ビジネスフォン+遠隔転送 数十万円〜数百万円 保守料 会社番号 社内のみ無料 固定席中心
クラウドPBX(スマホ内線化) 0円〜5万円 1,000円〜2,500円/ID 会社番号 無料(国内外) 1名〜数百名
IVR併用型 0円〜 3,000円台〜 会社番号 サービスによる 一次受け自動化したい組織

転送電話(ボイスワープ等)が向かない理由

転送電話は、かかってきた電話を指定の携帯電話へ自動で転送するサービスです。導入は最も簡単ですが、取り次ぎ用途では3つの弱点があります。

第一に、転送通話料が発信元(=会社)負担で継続的に発生します。 転送するたびに固定電話から携帯電話への通話料がかかるため、着信件数が増えるほどコストが膨らみます。

第二に、折り返し発信ができません。 転送で受けた電話に折り返す際、スマホからかけると個人の携帯番号が相手に通知されます。取引先に個人番号を知られたくない場合、この時点で運用が破綻します。

第三に、転送先が基本的に1〜2箇所に限られ、「誰が出るか」の振り分けができません。 部署ごとに担当を分けたい、担当者が出なければ次の人に回したい、といった制御が困難です。

小規模でも取引先との継続的な電話がある事業なら、転送電話は暫定策と割り切るべきです。

従来型ビジネスフォンの限界

ビジネスフォンは、オフィスに主装置(PBX)を設置し、複数の電話機で外線・内線を共有する仕組みです。保留転送や内線通話は快適に使えますが、その快適さはオフィス内に限定されます。

最大の問題はコスト構造です。従来のビジネスフォンを導入する場合、初期費用として数十万円〜数百万円のコストがかかります(ITreviewによる)。主装置本体、電話機の台数分、そして配線工事費が積み上がる構造です。加えて、増員時には電話機の追加と工事、移転時には撤去・再設置が発生します。

主装置には耐用年数があり、おおむね10年前後で保守部品の供給が終了します。 現在ビジネスフォンを使っている企業は、次のリプレース時期がメタル回線廃止のスケジュールと重なる可能性が高い点を意識しておく必要があります。

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クラウドPBXとは?スマホ内線化の仕組みを解説

クラウドPBXとは、オフィスに設置していた構内交換機(PBX)の機能を、インターネット上のクラウドサーバーで提供するサービスです。主装置というハードウェアがクラウドに移ることで、インターネットにつながる場所ならどこでも「オフィスの電話機の前にいるのと同じ状態」を作れます。

スマホ内線化とは何か

スマホ内線化とは、個人のスマホに専用アプリを入れ、会社のビジネスフォンの子機として内線通話や外線発着信を行えるようにすることです。物理的な電話機を持ち歩くのではなく、アプリが子機の役割を果たします。

これにより、取り次ぎの流れが次のように変わります。

  • 従来:代表番号に着信 → 受けた人が担当者不在を確認 → 伝言メモ → 折り返し
  • クラウドPBX:代表番号に着信 → 受けた人が保留転送 → 外出中の担当者のスマホが内線として鳴る → その場で対応完了

「伝言→折り返し」のルートが消えるのが本質的な変化です。担当者が客先にいても、電車で移動中でも、自宅でテレワークをしていても、スマホには内線番号で着信します。

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内線通話料が無料になる仕組み

クラウドPBXの内線通話は、インターネット回線を利用するため国内外問わず通話料が無料です。これはIP電話の技術特性によるもので、音声をデータ化してインターネット経由でやり取りするため、電話網の距離課金が発生しません。

複数拠点を運営している企業では、これが直接的なコスト削減になります。東京本社と大阪支社の間の連絡、海外駐在員との連絡が、すべて内線扱いで無料です。従来は拠点間を専用線で結ぶか、外線通話料を払うしかありませんでした。

番号はどうなる?050番号と0AB-J番号の違い

クラウドPBXで使える番号は2種類あり、選択を誤ると事業に支障が出ます。以下の表で違いを比較します。

項目 0AB-J番号(03、06など) 050番号
番号の形式 市外局番あり 050始まり
地域性 提供エリアに事業所が必要 地域の制約なし
取得の手軽さ 条件あり 即日取得も可能
対外的な信用 高い 個人利用のイメージが残る
番号ポータビリティ 条件により可能 不可
通信品質基準 総務省の品質基準を満たす必要あり 基準が異なる

BtoBの取引先がある企業、店舗や士業など地域密着型の事業では、0AB-J番号を選ぶべきです。 「03」や「06」の番号は、その地域に事業所があることの証明として機能します。求人応募や新規問い合わせの獲得率にも影響します。

一方、050番号はスピード重視の立ち上げやサブ回線に適しています。 起業直後で当面は既存顧客中心、という場合は050番号でスタートし、後から0AB-J番号を追加する選択もあります。

サービス選定時は、申し込み画面で「0AB-J番号(市外局番)に対応しているか」「現在使っている番号を引き継げるか」の2点を必ず確認してください。 サービスによっては050番号のみ、あるいは番号ポータビリティ非対応のケースがあります。

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主要クラウドPBX・電話取り次ぎサービス5選を比較

電話 取り次ぎ

ここでは特徴の異なる5サービスを比較します。結論を先に述べると、既存のひかり電話を活かすならテレワープ、最安重視ならOFFICE PHONE、多機能・多人数ならMOT/TEL、通話記録重視ならINNOVERA、取り次ぎ自体を自動化するならIVRyが第一候補になります。

以下の表で料金と特徴を比較します。

サービス名 初期費用 月額 主な特徴 向いている企業
テレワープ 3,300円〜 2,222円(税込)〜 ひかり電話に機器を接続してスマホ内線化 ひかり電話利用中の企業
OFFICE PHONE(OFFICE110) 24,800円 3,400円〜+98円〜/端末 導入費用無料キャンペーン有 コスト最優先の小規模事業者
MOT/TEL 29,800円~ 5,980円(20ID込み) ネットFAX・ビジネスチャット標準装備 10名以上の組織
03plus 5,000円 1,280円~ 10分かけ放題プラン、全国主要46局番取得可能 最短数日で導入できる
IVRy 0円 0円〜 AI音声認識・自動応答に特化、最短5分で設定完了 一次受けを自動化したい組織

テレワープ:ひかり電話をそのまま活かして内線化

テレワープは、既存の「ひかり電話」に専用機器を繋ぐだけでスマホを内線化できるサービスです。月額2,222円(税抜)〜、初期費用3,300円〜という価格設定になっています。

このサービスの位置づけは明確です。すでにひかり電話を契約していて、番号も設備も変えたくないが、外出先で電話を受けられるようにしたい企業に向いています。 電話番号の変更手続きが不要で、専用機器をひかり電話ルーターに接続する構成のため、導入時の心理的ハードルが低い点が評価できます。

注意点は、ひかり電話の契約が前提となることです。アナログ加入電話のみを使っている企業は、先にひかり電話への移行が必要になります。逆に言えば、これから固定電話をゼロから作る企業には向きません。

▼テレワープの基本情報

OFFICE PHONE(OFFICE110):1端末98円からの低価格帯

OFFICE PHONEは、月額料金以外にかかる費用が1端末あたり月額98円〜、初期費用0円という価格を打ち出しています。クラウドPBXの月額相場が1IDあたり1,000円〜2,500円であることを考えると、突出した安さです。

コストを最優先する小規模事業者、あるいは「まず試したい」段階の企業に適しています。 初期費用0円は、設備投資の余力が少ない起業直後の事業者にとって現実的な選択肢です。

ただし、オプション等で追加費用が発生する可能性がある点は必ず確認してください。見積もり取得時には、基本料金だけでなく「番号取得費用」「通話料単価」「アプリ利用料」「保守サポート費用」「最低利用期間と解約金」の5項目を個別に確認するのが実務的です。表面の月額だけで判断すると、総額が想定と乖離します。

MOT/TEL:20ID込み5,980円のパッケージ型

MOT/TELのスタンダードプランは、月額5,980円で20ID込みという料金体系です。1IDあたりに換算すると299円となり、20人規模で使い切ればかなり割安になります。さらに、ネットFAXやビジネスチャットを標準装備しています。

10名以上の組織、あるいは今後増員予定がある企業に向いています。 ID単価課金のサービスでは人が増えるたびに月額が上がりますが、MOT/TELは20IDまで定額のため、増員時のコスト増を気にせず運用できます。ネットFAXが標準装備されているのは、FAX受信のために複合機と回線を維持している企業にとって実質的なコスト削減になります。

注意点は、少人数での利用では割高になる可能性があることです。3人で使う場合、1IDあたり約1,993円となり、価格優位性は失われます。損益分岐の目安は6ID前後で、それ以下ならID単価課金型のサービスを検討したほうが合理的です。

03plus::全国46局番対応で最短数日導入

03plusは、スマホアプリだけで「03」「06」など全国主要46局番の市外局番を取得できるクラウド電話サービスです。初期費用5,000円、月額1,280円〜という料金体系に加え、10分かけ放題プランも用意されており、発信頻度が高い企業でも通話料を抑えやすい設計になっています。

03plusの強みは、専用機器の設置や工事が不要で、最短数日で導入できる点です。ひかり電話やPBX機器との接続を前提とするテレワープのようなサービスと異なり、アプリをインストールして番号を取得すればすぐに運用を始められます。本社は地方にあるが東京の市外局番で営業したい、あるいは急な移転・開業で電話番号をすぐに用意したい企業に向いています。

注意点は、周辺機能の多くがオプション(追加料金)扱いであり、基本料金だけでは利用できないことです。またオプションプランには最低利用期間(6か月)が設けられており、期間内の解約やダウングレードには制限や違約金が発生する場合があります。

オプションがセットになった割安のプランも別途提供されているので、必要機能を確認したうえで、プランを選択すると良いでしょう。。

▼03plusの基本情報

IVRy:取り次ぎ自体を自動化する

IVRyは、AIによる音声認識や自動応答(IVR)に特化したサービスです。月額0円〜、最短5分で設定完了とされています。

IVR(自動音声応答システム)とは、着信時に録音音声を流し、発信者の操作や音声認識に応じて適切な窓口へ電話を振り分けるシステムです。「ご予約のお客様は1を、その他のお問い合わせは2を押してください」という、あの仕組みです。

IVRyの価値は、取り次ぎを効率化するのではなく、取り次ぎという行為自体を減らす点にあります。 営業電話・勧誘電話を一次受けの段階で遮断でき、用件別に自動で振り分けるため、社員が「誰に取り次ぐか」を判断する工程が丸ごと不要になります。

注意点は、複雑な内線網構築よりも自動応答に特化していることです。社内の内線通話や保留転送をフル機能で使いたい場合は、クラウドPBXとの併用が現実的です。IVRyで一次受けと振り分けを行い、その先の内線ネットワークはクラウドPBXで構築する、という組み合わせが理にかなっています。

▼IVRyの基本情報

電話取り次ぎシステムの選び方は?判断軸5つ

サービス選定で迷ったら、「番号の種類」「同時通話数」「必要な機能」「1IDあたりの実質単価」「サポート体制」の5軸で絞り込んでください。この順番で検討すると、候補が2〜3社に収束します。

判断軸1:0AB-J番号が必要か

前述のとおり、市外局番付きの0AB-J番号が必要かどうかで候補が大きく変わります。取引先や顧客が法人中心、あるいは地域密着型の店舗・士業であれば、0AB-J番号は必須と考えてください。 番号ポータビリティ(現在の番号をそのまま引き継ぐこと)の可否も同時に確認します。

現在アナログ加入電話を使っている場合、番号を引き継げるかは契約状況によって条件が異なります。問い合わせ時には「現在の回線種別(アナログ/ひかり電話/ISDN)」「電話番号」「契約者名義」の3点を伝えると、可否の回答が早く得られます。

判断軸2:同時通話数はいくつ必要か

見落とされやすいのが同時通話数(同時に何本の外線を扱えるか)です。 IDの数と同時通話数は別物で、10ID契約でも同時通話が3chなら、4人目の着信は話中になります。

目安として、着信が多い業種では従業員数の3分の1程度、通常のオフィスなら5分の1程度を確保すると運用に無理が生じにくくなります。ピーク時に電話が繋がらないと機会損失に直結するため、見積もり段階で「同時通話数は何chか」「追加する場合の単価はいくらか」を必ず確認してください。

判断軸3:どの機能が業務に必要か

機能は多ければよいわけではありません。以下の表で、代表的な機能と必要になる場面を整理します。

機能 内容 必要になる場面
保留転送 通話を保留し別端末へ引き継ぐ 取り次ぎ業務がある全社
IVR(自動音声応答) 音声ガイダンスで振り分け 営業電話が多い、用件が分かれる
通話録音 通話内容を自動保存 クレーム対応、教育、コンプライアンス
CTI 着信時に顧客情報をPC表示 顧客管理システムを運用中
着信履歴の共有 不在着信を全員で確認 折り返し漏れを防ぎたい
ネットFAX FAXをデータで送受信 FAX利用が残る業種

CTIとは、電話機とコンピューターを統合するシステムで、着信時に顧客情報をPC画面に表示する機能などがあります。顧客管理システム(CRM)を運用している企業では、CTI連携によって「電話に出た瞬間に相手の情報が分かる」状態を作れます。

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判断軸4:1IDあたりの実質単価で比較する

表示価格ではなく、自社の人数で割った実質単価で比較してください。 MOT/TELの例で示したように、パッケージ型とID課金型では損益分岐点が存在します。

以下の表で、人数別の月額シミュレーションを示します(月額の目安を用いた概算)。

利用人数 ID課金型(1,500円/ID想定) パッケージ型(5,980円/20ID) 有利なのは
3名 4,500円 5,980円 ID課金型
5名 7,500円 5,980円 パッケージ型
10名 15,000円 5,980円 パッケージ型
20名 30,000円 5,980円 パッケージ型
30名 45,000円 5,980円+追加分 要試算

4名を超えるあたりからパッケージ型の優位が出てきます。 ただし通話料は別途発生するため、通話量が多い企業は通話料単価も含めた総額で比較する必要があります。

判断軸5:サポート体制と障害時の対応

クラウドPBXはインターネット回線に依存するため、回線障害時に電話が止まるリスクがあります。 ここを軽視すると、いざというときに事業が停止します。

確認すべきは3点です。「サポートの受付時間(平日日中のみか、24時間か)」「障害発生時の代替手段(携帯転送への自動切替があるか)」「過去の障害履歴と復旧実績の公開有無」。 特に代替手段は重要で、インターネットが落ちても着信を携帯電話へ自動転送する設定があるサービスなら、最悪の事態を回避できます。

また、オフィスのインターネット回線が電話と共用になる点も考慮が必要です。動画会議と電話が同時に走ると帯域が逼迫し、音質に影響する場合があります。導入前に上り帯域を確認し、必要ならビジネス向け回線への切り替えも検討してください。

なぜ今すぐ移行すべき?2026年NTT値上げと2035年メタル回線廃止

電話 取り次ぎ

固定電話を取り巻く環境は、2026年から2035年にかけて大きく変わります。結論として、「様子を見る」という選択には期限があります。 移行を先送りするほど、値上げ分の支払いが積み上がり、駆け込み需要による工事の混雑リスクも高まります。

2026年4月から加入電話の基本料金が値上げ

2025年9月29日、NTT東西は「加入電話」「加入電話・ライトプラン」の基本料金を2026年4月1日利用分から値上げすると発表しました。値上げ幅は、事務用が一律330円/月、住宅用が一律220円/月です。

月330円は小さく見えますが、回線数と年数を掛けると印象が変わります。以下の表で試算します。

回線数 月額増加 年間増加 5年間の増加 10年間の増加
1回線 330円 3,960円 19,800円 39,600円
3回線 990円 11,880円 59,400円 118,800円
5回線 1,650円 19,800円 99,000円 198,000円
10回線 3,300円 39,600円 198,000円 396,000円

5回線を維持している企業なら、値上げ分だけで10年間に約19.8万円の追加負担が発生します。 これは基本料の増加分のみで、既存の基本料金・通話料は含みません。

さらに重要なのは、この値上げが1回きりとは限らない点です。固定電話の契約者数は1998年度をピークに約80%減少し、通話時間は2000年度比で約96%減少しています(総務省の報道資料による)。利用者が減り続ける中で設備を維持するには、1回線あたりの単価を上げるか、サービス自体を縮小するしかありません。今回の値上げは、その構造的な圧力が表面化したものと捉えるのが妥当です。

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2035年頃にメタル回線での固定電話維持が困難に

メタル回線とは、銅線を用いた通信回線のことで、アナログ電話(加入電話)やISDNなどで利用されています。NTT東西は、2035年頃までにメタル設備を用いた固定電話サービスの維持が困難になる見通しを示し、段階的な移行計画を発表しました。

「2035年ならまだ先」と感じるかもしれませんが、これは終了時期であって、対応を始める時期ではありません。設備の老朽化は地域ごとに進行するため、実際の移行案内はエリア単位で順次届きます。 また、全国の企業が一斉に移行を始めれば、工事枠の確保やサービス側の対応が追いつかない可能性があります。

行政側も動いています。2025年10月3日、総務省は情報通信審議会に対し「固定電話サービスの円滑な移行の在り方」について諮問を行いました。(出典:総務省 報道資料)国として移行の枠組みを整理する段階に入ったことを示しており、今後具体的な移行スケジュールや支援策が示される可能性があります。

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すでに終了が決まっているサービス

固定電話関連では、以下の終了スケジュールが公表されています。

サービス 終了時期 内容
ISDN(INSネット)ディジタル通信モード 2024年1月(終了済み) データ通信機能の提供終了
ISDN(INSネット)サービス本体 2028年12月末(予定) サービス自体の終了
ソフトバンク「おとくライン」 2030年3月31日 サービス提供終了
メタル回線での固定電話 2035年頃(見通し) 設備維持が困難に

ソフトバンクの固定電話サービス「おとくライン」は、2030年3月31日でサービス提供を終了します(ITmedia NEWSによる)。NTT以外の事業者も同じ方向に動いていることがわかります。固定電話インフラ全体が、メタルからIP・モバイルへ移行する流れにあります。

2024年のIP網移行はゴールではない

2024年1月、NTT東西は固定電話の局内設備をPSTN(公衆交換電話網)からIP網へ移行完了し、通話料を全国一律9.35円/3分に変更しました。IP網移行とは、従来の公衆交換電話網から、インターネットプロトコル(IP)技術を用いた通信網へ局内設備を切り替えることです。

「IP網移行が終わったから、もう対応は不要」と考える方がいますが、これは局内設備の話であり、各企業とNTT局舎を結ぶ加入者線(メタル回線)はそのまま残っています。 2035年頃に問題になるのは、この加入者線の部分です。IP網移行はメタル廃止の前段階であって、終着点ではありません。

なお、メタル回線の代替として、2024年4月1日より、NTT東西はモバイル回線を利用した「ワイヤレス固定電話」の提供を開始しています。(出典:NTT東日本 「ワイヤレス固定電話」の提供開始について)これは電話番号を変えずにモバイル回線へ切り替える選択肢ですが、あくまで固定電話の置き換えであり、スマホ内線化や取り次ぎ効率化の機能は含まれません。取り次ぎ課題を同時に解決したいなら、クラウドPBXが適しています。

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固定電話とクラウドPBXのコストはどう違う?10年シミュレーション

10年間の総コストで比較すると、従来型ビジネスフォンとクラウドPBXでは数百万円規模の差が生じます。特に初期費用の差が大きく、クラウドPBXは投資回収の考え方そのものが不要です。

以下の表で、10名規模のオフィスを想定した10年間の概算を比較します(通話料は同額と仮定し除外、値上げ後の基本料増加分を含む)。

項目 従来型ビジネスフォン+加入電話 クラウドPBX
初期費用 500,000円(主装置+10台+工事) 30,000円
月額(システム) 保守料 10,000円 15,000円(1,500円×10ID)
回線基本料(3回線想定) 約9,000円 0円(サービスに含む)
2026年値上げ分(3回線) +990円 0円
拠点間・外出先通話料 発生 内線扱いで0円
10年間の月額合計 約2,398,800円 約1,800,000円
10年間の総額 約2,898,800円 約1,830,000円
差額 約1,068,800円の削減

この試算は概算であり、実際の金額は構成や契約内容で変動します。ただし、構造的な差は明確です。

  • 初期費用の差:ビジネスフォンは数十万円〜数百万円、クラウドPBXは0円〜5万円
  • 増員時の差:ビジネスフォンは電話機購入+工事、クラウドPBXはID追加のみ
  • 移転時の差:ビジネスフォンは撤去・再設置工事、クラウドPBXは設定変更のみ
  • 拠点間通話料の差:ビジネスフォンは外線扱い、クラウドPBXは内線で無料
  • リプレース費用の差:ビジネスフォンは10年前後で主装置更新、クラウドPBXは不要

特に、移転・増員が想定される企業では差が拡大します。 オフィス移転のたびに数十万円の工事費が発生する構造から解放される点は、月額の比較だけでは見えないメリットです。

補助金・助成金は使えるか

クラウドPBX導入では、IT導入補助金の活用を検討できる場合があります。IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が業務効率化やDXに資するITツールを導入する際の経費の一部を補助する制度です。(出典:IT導入補助金 公式サイト

対象となるかは、そのサービスが「IT導入支援事業者」によって登録されたITツールであるかによります。サービスへの問い合わせ時に「IT導入補助金の対象ツールとして登録されているか」を直接確認するのが最も確実です。 補助金は公募期間と枠が定められているため、導入時期の調整が必要になる場合があります。

また、厚生労働省の業務改善助成金は、事業場内最低賃金の引き上げと生産性向上のための設備投資等を行った中小企業・小規模事業者を支援する制度です。(出典:厚生労働省 業務改善助成金)賃上げとセットでの申請が要件となるため、賃金改定を予定している企業は検討の余地があります。

いずれの制度も、申請要件・補助率・公募期間は年度ごとに変更されます。 導入を決める前に、必ず公式サイトで最新の要件を確認してください。

テレワーク中の電話取り次ぎはどう変わる?運用設計の実務

電話 取り次ぎ

テレワーク下で取り次ぎを機能させるには、システム導入だけでなく「誰が最初に出るか」「出られないときどうするか」のルール設計が必要です。ツールを入れただけでは、誰も出ない電話が発生します。

総務省もテレワーク推進のための情報を公開しており、電話環境の整備は在宅勤務を成立させる要件の一つとして位置づけられます。(出典:総務省 テレワーク情報サイト

一次受けのルールを決める

クラウドPBXでは、着信の鳴らし方を柔軟に設定できます。代表的なパターンは3つです。

鳴らし方 動作 向いているケース
一斉着信 登録した全端末が同時に鳴る 少人数、誰でも出られる体制
順次着信 指定順に一定秒数ずつ鳴る 一次受け担当を決めている
時間帯別 曜日・時間で鳴り分け シフト制、営業時間外対応

一斉着信は手軽ですが、全員が「誰かが出るだろう」と考えて誰も出ない事態が起きがちです。 3名を超える組織なら、順次着信で一次受けの順番を明示するほうが確実に機能します。

折り返し漏れを防ぐ仕組み

テレワークで最も起きやすい事故が、不在着信の放置です。オフィスなら電話機のランプで気づけますが、在宅では見落とされます。

対策は3点あります。第一に、着信履歴を全員で共有できるサービスを選ぶこと。 誰宛の不在着信が何件あるかを全員が見られる状態にします。第二に、不在着信の通知先を管理者にも設定すること。 担当者が気づかなくても、管理者がフォローできます。第三に、営業時間外は明確にアナウンスを流すこと。 IVRで「本日の営業は終了しました」と案内すれば、相手も無駄に待たずに済みます。

個人スマホ利用(BYOD)の設計

個人のスマホを業務に使う場合、アプリの通知設定と勤務時間外の扱いを事前に決めておく必要があります。 深夜に業務電話が個人スマホに鳴る状態を放置すると、労務上の問題に発展します。

実務的な設定としては、アプリ側で「業務時間外は着信を受け付けない」設定にする、または時間帯別の鳴り分けで営業時間外はIVRの留守番応答に切り替える運用が現実的です。導入時に、サービス側でこの設定が可能かを確認してください。

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導入はどう進める?5ステップの手順

クラウドPBXの導入は、物理的なPBX機器の設置や電話線の配線工事が不要なため、最短数日〜で運用を開始できます。 ただし、番号ポータビリティを行う場合は数週間かかることがあります。

ステップ1:現状の棚卸し(1〜3日)

まず、以下を書き出します。

  • 現在の回線種別(アナログ加入電話/ひかり電話/ISDN)と回線数
  • 電話番号の一覧と、引き継ぎが必要な番号
  • 月額の回線基本料と通話料(直近3ヶ月の請求書を確認)
  • 1日あたりの着信件数と平均通話時間
  • 電話を使う人数と、そのうちテレワーク・外出が多い人数

特に「平均通話時間」は、INNOVERAのような90秒課金サービスを検討する際の判断材料になります。 請求書の通話明細から算出できます。

ステップ2:要件の確定(1〜3日)

判断軸5つに沿って、必要要件を確定します。

  • 0AB-J番号が必要か、050番号でよいか
  • 番号ポータビリティが必要か
  • 必要な同時通話数
  • 必須機能(保留転送、IVR、通話録音、CTI連携など)
  • 予算(初期・月額の上限)

ステップ3:3社程度に見積もり依頼(1週間)

必ず複数社から見積もりを取ってください。 クラウドPBXは料金体系がサービスごとに大きく異なるため、1社だけでは相場観が持てません。

見積もり依頼時に伝える情報を統一すると、比較が正確になります。「利用人数」「必要な番号と種類」「必要な同時通話数」「必須機能」「希望導入時期」の5点を同じ内容で各社に伝えてください。

ステップ4:試用・検証(1〜2週間)

無料トライアルがあるサービスは必ず使ってください。 検証すべきは以下です。

  • 音質:実際に外線・内線で通話し、遅延や途切れがないか
  • 保留転送の操作性:アプリ画面で何タップで転送できるか
  • 着信の速さ:鳴るまでのタイムラグはどの程度か
  • モバイル回線での挙動:Wi-Fiだけでなく、4G/5G環境でも試す
  • バッテリー消費:常時待受にした場合の消費量

特にモバイル回線での検証は重要です。 オフィスのWi-Fiでは快適でも、外出先の電波状況では品質が落ちる場合があります。実際に外出先で試してください。

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ステップ5:切り替えと運用開始(数日〜数週間)

番号ポータビリティを行う場合、現在の回線契約と新サービスの開通日を調整する必要があります。 空白期間が生じないよう、事業者間で日程を確定させてください。

切り替え直後は、旧回線と新サービスを並行運用する期間を設けると安全です。取引先やWebサイト、名刺の番号表記変更が必要な場合は、この期間に周知を進めます。

よくある質問(FAQ)

個人のスマホを業務に使うと、プライベートの番号が相手に知られますか?

知られません。クラウドPBXの専用アプリから発信すれば、会社の代表番号や直通番号が相手に通知されます。個人の携帯番号は通知されないため、私用と業務の番号を明確に分けられます。

スマホで会社の電話を受けると、通話料は個人負担になりますか?

なりません。クラウドPBXアプリでの通話はインターネット回線を利用し、外線通話料は会社宛に請求されます。内線通話は国内外を問わず無料のため、個人の通話料負担は発生しません。

2024年にIP網移行が終わったので、もう固定電話の対策は不要ですか?

必要です。2026年4月1日利用分から加入電話の基本料金が値上げされ(事務用一律330円/月)、2035年頃にはメタル回線自体の維持が困難になる見通しが示されています。IP網移行は局内設備の話であり、加入者線は残っています。

クラウドPBXは音質が悪いのではありませんか?

現在のクラウドPBXは技術向上により、固定電話と同等の音質(総務省基準のクラスAなど)を提供するサービスが多くなっています。ただし利用するインターネット回線の品質に左右されるため、導入前のトライアルで実環境での音質確認をおすすめします。

導入に大掛かりな工事は必要ですか?

不要です。クラウドPBXはインターネット回線を利用するため、物理的なPBX機器の設置や電話線の配線工事が必要ありません。最短数日〜で導入できます。ただし番号ポータビリティを行う場合は数週間かかることがあります。

現在使っている電話番号をそのまま使えますか?

条件によります。0AB-J番号(03、06などの市外局番付き番号)は番号ポータビリティに対応するサービスがありますが、現在の回線種別や契約状況によって可否が異なります。050番号は原則として引き継げません。サービスへの問い合わせ時に、回線種別と電話番号を伝えて確認してください。

インターネットが止まったら電話も使えなくなりますか?

回線障害時は影響を受けます。ただし、多くのサービスで障害時に携帯電話へ自動転送する設定が可能です。サービス選定時に「障害時の代替手段があるか」を必ず確認してください。モバイル回線を予備として併用する構成も有効です。

1人の個人事業主でもクラウドPBXを導入するメリットはありますか?

あります。0AB-J番号を取得すれば、個人の携帯番号を公開せずに事業用の固定電話番号を持てます。初期費用0円〜、月額1,000円台から始められるため、加入電話を新規契約するより安価です。2026年4月からの基本料値上げの影響も受けません。

まとめ:電話取り次ぎの見直しは2026年が判断のタイミング

電話の取り次ぎ業務は、クラウドPBXによるスマホ内線化で構造的に解決できます。「伝言→折り返し」というルートを消すことが、業務効率化とコスト削減の本質です。

最後に、判断のポイントを整理します。

  • 取り次ぎの非効率の正体は、作業中断と折り返しタスクの発生。転送電話では解決しない
  • クラウドPBXの相場は初期費用0円〜5万円、月額1IDあたり1,000円〜2,500円。従来型ビジネスフォンの数十万円〜数百万円と比べ、導入障壁が大幅に低い
  • サービス選定は「番号の種類」「同時通話数」「必要機能」「実質単価」「サポート体制」の5軸で絞り込む
  • 2026年4月1日利用分から加入電話の基本料が値上げ(事務用一律330円/月、住宅用一律220円/月)。5回線なら10年で約19.8万円の追加負担
  • 2035年頃にメタル回線での固定電話維持が困難になる見通し。ISDNは2028年12月末、ソフトバンク「おとくライン」は2030年3月31日に終了予定
  • 取り次ぎ自体を減らすならIVR併用、既存のひかり電話を活かすならアダプタ型と、目的別に最適解が分かれる

固定電話の契約者数は1998年度をピークに約80%減少し、通話時間は2000年度比で約96%減少しています。この流れが反転する見込みは乏しく、メタル回線を維持する側のコストは今後も上昇圧力を受け続けます。

まずは直近3ヶ月の電話料金の請求書を手元に出し、回線数・基本料・通話料・平均通話時間を書き出すところから始めてください。現状の数字が見えれば、どのサービスが自社に合うかは自ずと絞り込めます。