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固定電話の無線化ガイド|クラウドPBXでスマホ発着信する方法と比較

※本記事は2026年04月時点の情報に基づいています。

「会社の固定電話をスマホで受けられたら、オフィスに縛られなくて済むのに」と感じているなら、今が動き時です。

2026年4月、NTT東日本・西日本は加入電話の基本料を約31年ぶりに値上げしました。さらに2035年ごろには、銅線を使ったメタル回線による固定電話サービス自体が終了する見通しです。

こうした流れの中で注目されているのが、固定電話の「無線化」です。固定電話アプリ(クラウドPBX)を導入すれば、今の電話番号をそのままスマホで発着信でき、転送通話料も削減できます。

本記事では、固定電話の無線化に関する仕組み・コスト比較・主要サービスの選び方を、ファクトデータに基づいて解説します。

目次

固定電話の無線化が必要な背景|NTTにまつまる2つの変化

固定電話 無線化

固定電話の無線化を検討する前に、押さえておくべき2つの環境変化があります。

NTT基本料の値上げ(2026年4月〜)

NTT東日本・西日本は、約31年ぶりに「加入電話」「加入電話・ライトプラン」の基本料を、以下のように改定しました。

  • 事務用:一律 +330円/月
  • 住宅用:一律 +220円/月

NTT東西の加入電話契約数は2024年度末時点で1,147万件とピーク時から約80%減少。

契約者の減少によって回線維持コストが分散できなくなったことが、値上げの背景にあります。

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メタル回線の終了(2035年ごろ)

NTT東西は、2035年ごろを目途にメタル回線を用いた固定電話サービスを終了すると発表しています。

メタル回線とは、銅線を用いた通信回線で、従来のアナログ加入電話やISDNに使用される設備です。

光回線やモバイル回線への段階的移行が、今後進む見通しです。

なお、2024年1月に固定電話網からIP網(インターネットプロトコルを用いた通信ネットワーク)への局内設備の切り替えがすでに開始され、2025年1月に完了しています。

ただし、IP網への移行は局内設備の変更であり、現在お使いの電話機が使えなくなるわけではありません。

つまり、「今すぐ使えなくなる」わけではないものの、固定電話の維持コストは確実に上昇し、将来的にはサービス自体が終了するという2つの事実が、無線化を検討する大きな動機になっています。

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固定電話の無線化|2つの方法を比較

固定電話の番号をスマホで使えるようにする方法の仕組みとコスト構造を把握しておきましょう。

ボイスワープ クラウドPBX(固定電話アプリ)
スマホでの着信 ○(転送) ○(直接着信)
スマホからの発信(固定番号) ×
転送通話料 契約者負担 なし
内線通話 × ○(無料)
初期費用 低い 中〜低い
緊急通報(110/119) ×(多くの場合)

方法1|電話転送サービス(ボイスワープなど)

ボイスワープとは、NTTが提供する電話転送サービスです。

会社の固定電話にかかってきた着信を、あらかじめ登録したスマホや別の電話番号へ自動的に転送します。

  • メリット:導入が最も簡単。既存の電話機・回線をそのまま使える
  • デメリット転送元→転送先の通話料が契約者負担になる。発信時は固定電話番号を使えない

たとえば、顧客からの電話を社員のスマホに転送するたびに通話料が発生するため、着信件数が多い企業ほどコスト負担が大きくなります。

方法2|クラウドPBX(固定電話アプリ)

クラウドPBX(固定電話アプリ)とは、従来オフィスに設置していたPBX(構内交換機)の機能をクラウド上で提供するサービスです。

物理的な機器が不要で、スマホにアプリをインストールするだけで固定電話番号での発着信が可能になります。

  • メリット:スマホでの着信に転送通話料がかからない。内線通話も無料。複数拠点でも同一番号で運用できる
  • デメリット:通信環境(Wi-Fiやモバイル回線)の品質に依存する。110番・119番への緊急通報ができない場合が多い

コストが安いのは?ボイスワープとクラウドPBX(固定電話アプリ)

固定電話の無線化なら「転送サービスで十分では?」と考える方も多いですが、着信件数が一定以上になるとコスト差は無視できません。

ボイスワープで固定電話からスマホへ転送する場合、通話料は距離と時間に応じて発生します。

仮に1日平均20件の県内市内の着信を転送し、1件あたり平均3分の通話があるケースで試算します。

ボイスワープの場合(概算)

  • 転送通話料:約8.8円/3分× 20件×22営業日 = 約3,872円/月
  • そのほか費用:ボイスワープ月額利用料として550円

クラウドPBX(固定電話アプリ)の場合

  • 転送通話料:0円(スマホアプリでの直接着信のため)
  • そのほか費用:クラウドPBX月額利用料(1ユーザーあたり1,000〜2,000円程度が目安)

着信件数が多い事業所ほど、クラウドPBXへの切り替えによるコスト削減効果は大きくなります。

加えて、スマホから固定電話番号で発信できるため、折り返し電話の際も会社番号を使えるという実務上の利点があります。

NTT基本料値上げの年間コストインパクト試算

固定電話 無線化

2026年4月からの値上げが、企業の電話コストにどの程度影響するかを回線数別に試算します。

事務用回線のコスト増(+330円/月・回線)

以下は、回線数ごとに増額となる年間コストをまとめた表です。

保有回線数 月間コスト増 年間コスト増
1回線 +330円 +3,960円
3回線 +990円 +11,880円
5回線 +1,650円 +19,800円
10回線 +3,300円 +39,600円

10回線を維持している企業では、値上げだけで年間約4万円のコスト増。

従来からの基本料、通話料、ボイスワープ利用料などを加えると、クラウドPBXの月額料金のほうが安くなるケースが十分にあり得ます

特に、複数拠点で回線を分散して持っている企業は、クラウドPBXで1つの契約に集約することで回線自体を削減できるため、コスト削減の余地がさらに大きくなるといえます。

判断するためにも、現在の固定電話にかかっている月額費用(基本料+通話料+転送料+オプション料)を一度洗い出し、クラウドPBXの月額と比較してみてください。

NTTの請求明細または「@ビリング」で確認できます。

クラウドPBX(固定電話アプリ)のメリットとデメリット

固定電話の無線化のためにクラウドPBXの導入を判断するうえで、メリット・デメリットをまとめました。

クラウドPBXのメリットは、以下のとおりです。

  • 転送通話料の削減:スマホアプリへの着信はインターネット回線を利用するため、転送通話料が無料
  • テレワーク・外出先での対応:オフィスにいなくても固定電話番号で発着信可能
  • 内線通話の無料化:社員間のスマホ同士の通話を内線扱い
  • 物理PBXの廃止:従来のPBX機器の購入・保守費用が不要
  • 複数拠点の一元管理:東京・大阪など離れた拠点でも同一の電話番号体系で運用

コストだけでなく、クライアントへの連絡だけでなく、社員間でも通話しやすい仕事環境が整います。

全国に拠点があっても同一の電話番号体系で運用でき、管理の手間が減ります。

一方で、クラウドPBXのデメリットは以下のとおりです。

  • 通信環境への依存: Wi-Fiが不安定なオフィスや、電波状況の悪い場所では音質が低下する可能性
  • 緊急通報の制限:110番や119番などの緊急通報用電話番号への発信ができない
  • 番号の引き継ぎ条件:既存の電話番号をすべて引き継げるわけではない
  • 契約期間の縛り:サービスによっては最低利用期間が設定されている

良いネット環境が必須といえるので、使用感を確かめるためにも、無料トライアルを活用すべきでしょう。

▼クラウドPBXのメリット・デメリットをもっと詳しく知りたい

主要クラウドPBX・固定電話アプリ6選比較

固定電話の無線化に対応する代表的なサービスを、特徴と適したユースケース別に整理します。

ニーズ おすすめサービス
とにかく音質重視 MOT/TEL、モバビジ
迷惑電話をブロックしたい トビラフォンCloud
コールセンター運用 BIZTEL
初期費用を抑えたい 03plus
電話対応を自動化したい DXでんわ
ひかり電話回線をすでに使っている モバビジ

各サービスの公式サイトでは、無料トライアルやデモが用意されているものもあります。

音質はスペックだけでは判断できないため、契約前に必ず自社の通信環境(オフィスのWi-Fi品質、社員のモバイル回線エリア)で実際の通話品質を試してください。

MOT/TEL(モッテル)

  • 提供元:株式会社バルテック
  • 特徴:自社開発のエンジンで音質と通話の安定性に強み。既存番号の引き継ぎに対応
  • 向いている企業:音質を最優先したい企業。通話品質に妥協したくないコールセンターや士業事務所

トビラフォンCloud

  • 提供元:トビラシステムズ株式会社
  • 特徴:設備投資不要。約3万件のリストに基づく迷惑電話フィルタ機能を標準搭載
  • 向いている企業:営業電話や迷惑電話に悩んでいる企業。少人数で電話対応している事業所

BIZTEL

  • 提供元:株式会社リンク
  • 特徴:コールセンター向け機能が充実。セキュリティと音声品質に定評がある
  • 向いている企業:受電業務が中心のコールセンター。セキュリティ要件が厳しい金融・医療系

モバビジ

  • 提供元:クラウドテレコム株式会社
  • 特徴:NTT東西のひかり電話回線を利用。スマホでの操作性を重視した設計
  • 向いている企業:通話品質を確実に担保したい企業。すでにひかり電話を導入している事業所

▼モバビジの詳細はこちら

03plus

  • 提供元:株式会社グラントン
  • 特徴:スマホで03番号などが使えるアプリ。クラウドFAX機能を搭載。0円スタートプランあり
  • 向いている企業:起業・開業したてでコストを極力抑えたい個人事業主。FAXのやり取りが残っている業種(不動産、建設など)

▼03plusの詳細はこちら

DXでんわ

  • 提供元:株式会社メディアリンク
  • 特徴IVR(自動音声応答システム)に特化。着信時に自動音声を流し、発信者の操作に応じて適切な担当者へ振り分ける機能が強力
  • 向いている企業:電話の一次対応に人手を割きたくない企業。「まずは自動応答で振り分けたい」というニーズがある事業所

2035年メタル回線廃止に向けた企業規模別の移行ロードマップ

2035年のメタル回線終了まで約9年。

「まだ先の話」と思いがちですが、NTTからの移行先として光回線電話やワイヤレス固定電話が案内される際、初期費用は無償とされています。

急がなくても損はしませんが、クラウドPBX(固定電話アプリ)への移行を「ついでに」進めれば、コスト削減と業務効率化を同時に実現できます

個人事業主・1〜5名規模

規模がまだ小さい企業は、事業の拡大に合わせて考えることがポイントです。
今すぐ(2026年)

  • 現在の電話コスト(基本料+通話料+転送料)を洗い出す
  • 03plusのような低コストのアプリ型サービスを検討。0円スタートプランがあれば試してみる
  • 着信件数が少なければ、まずはボイスワープで様子を見るのも選択肢

2027〜2030年

  • 事業拡大に応じてクラウドPBXへ移行を検討
  • 内線機能や通話録音が必要になったタイミングが切り替えどき

小規模法人・5〜30名規模

今すぐ(2026年)

  • NTT値上げ後の年間コスト増を試算し、クラウドPBX導入の費用対効果を検証する
  • デジタル化・AI導入補助金の申請を検討(後述)
  • 2〜3サービスの無料トライアルで音質と操作性を比較

2027〜2030年

  • メタル回線を順次解約し、クラウドPBXへ完全移行
  • 拠点間の内線網をクラウドで統合

中規模以上・30名超

今すぐ(2026年)

  • 全社の電話回線・番号の棚卸しを実施
  • 情報システム部門とともに、セキュリティ要件を含めたクラウドPBXの要件定義を行う
  • BIZTELなどエンタープライズ対応のサービスで検証環境を構築

2028〜2032年

  • 部署・拠点単位で段階的にクラウドPBXへ移行
  • レガシーPBX機器のリース契約満了タイミングに合わせて切り替えるとコスト効率が良い

2033〜2035年

  • メタル回線依存の完全解消を目標に、残存回線を最終整理

デジタル化・AI導入補助金を活用したスモールスタート導入例

固定電話 無線化

クラウドPBXの導入費用を抑える手段として、2026年度のデジタル化・AI導入補助金が活用できます。

デジタル化・AI導入補助金の概要

デジタル化・AI導入補助金の概要は、以下のとおりです。

  • 通常枠の補助率:ソフトウェア導入費用の1/2以内
  • 対象経費:クラウドPBXのソフトウェア利用料、導入設定費など
  • 対象事業者:中小企業・小規模事業者

申請に必要な事前準備

補助金の電子申請には、GビズID(gBizIDプライム)のアカウントが必要です。

取得には通常2〜3週間程度かかるため、申請を検討している場合は先にアカウントを作成しておくことを強くおすすめします。

スモールスタート導入例(従業員5名の士業事務所の場合)

「まずは少人数で試し、効果を検証してから全社展開する」というアプローチが、リスクを最小化する導入方法です。

  1. 現状:NTT加入電話2回線+ボイスワープで外出時対応。月額コスト約8,000円
  2. 導入サービス:03plusの5ユーザープランを導入
  3. 補助金適用:初期設定費・ソフトウェア利用料の1/2が補助対象
  4. 効果:ボイスワープの転送通話料が不要に。スマホから事務所番号で折り返しできるため、顧客対応のスピードも向上

なお、補助金の公募スケジュールは年度によって変わるため、IT導入補助金の公式サイトで最新情報を確認してください。

クラウドPBX導入前に確認|電話番号引き継ぎの条件と注意点

「クラウドPBXに切り替えたら、今の03番号や06番号は使えなくなるのでは?」は最も多い心配事のひとつです。

引継ぎできないケースもあるので、条件・注意点を確認しましょう。

クラウドPBXに引き継ぎできるケース

03や06など、地域を特定できる市外局番から始まる固定電話番号)をクラウドPBXで引き継ぐには、LNP(番号ポータビリティ)の条件を満たす必要があります。

具体的には、以下の条件を確認してください。

  • NTTで新規取得した番号:多くのクラウドPBXサービスでLNPにより引き継ぎ可能
  • NTT以外(KDDIやソフトバンクなど)で取得した番号:引き継ぎできない場合がある
  • ひかり電話で発番された番号:サービスによって対応が異なる

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固定電話番号を引継ぎできるかの確認の手順

使用している固定電話番号を契約するクラウドPBXに引き継げるかは、以下の手順で確認しましょう。

  1. 現在の電話番号がどこで取得されたものかを確認する(NTTの請求書や契約書に記載あり)
  2. 導入を検討しているクラウドPBXサービスに、引き継ぎ可能かを事前に問い合わせる

番号引き継ぎの可否は、サービス契約前に必ず確認してください。

契約後に「引き継げない」と判明すると、番号変更による顧客通知などの手間が発生します。

よくある質問(FAQ)

Q. 2024年のIP網移行で今の電話機が使えなくなりますか?

いいえ、そのまま使えます

2024年〜2025年に行われたのは、NTTの局内設備をIP網に切り替える作業です。利用者側の電話機や配線には影響がなく、手続きも不要です。

Q. 2035年に固定電話が完全に消滅しますか?

「固定電話番号」が消えるわけではありません。

終了するのはメタル回線(銅線)を使った「加入電話」のサービスであり、光回線電話やクラウドPBXへ移行すれば、同じ番号を継続して使用できます。

Q. クラウドPBXにすると今の電話番号は変わりますか?

NTTで取得した番号であれば、LNP(番号ポータビリティ)により引き継げるケースが多いです。

ただし、他社で取得した番号は引き継ぎできない場合があるため、契約前に必ず確認してください。

Q. スマホに転送すると通話料はどうなりますか?

ボイスワープなどの転送サービスでは、転送元から転送先への通話料が契約者負担です。

一方、クラウドPBXのスマホアプリで直接着信する場合は、インターネット回線を利用するため転送通話料はかかりません

Q. クラウドPBXの音質は悪いのでしょうか?

通信環境に左右される面はありますが、MOT/TELのように独自開発で音質を高めているサービスや、モバビジのようにNTTのひかり電話回線を併用して音声品質を担保しているサービスもあります。

オフィスのWi-Fi環境が安定していれば、従来の固定電話と遜色ない音質で通話できます。 導入前に無料トライアルで実際の環境での音質を確認することをおすすめします。

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固定電話の無線化は「コスト削減」と「将来対策」を同時に実現する

固定電話の無線化は、単なるトレンドではなく、2026年のNTT値上げ2035年のメタル回線廃止という2つの確定した変化に対応するための実務的な判断です。

今日からできるアクションは3つです。

  1. 現在の電話コストを洗い出す
  2. クラウドPBXサービスの無料トライアルを試す
  3. 番号の引き継ぎ可否を確認する

デジタル化・AI導入補助金を活用すれば、初期費用の負担も抑えられます。GビズIDの事前取得だけでも、今のうちに済ませておきましょう。

固定電話のコストと運用に課題を感じているなら、2035年に向けた一歩を踏み出しましょう。