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電話によるカスハラはどう対策する?

電話によるカスハラはどう対策する?

厚生労働省は、すべての企業に対してカスハラ対策を義務づける方針を決定しました。

この事実は、カスタマーハラスメントが今の日本において深刻な社会問題になっている証でもあります。

とくに厄介なのが、身元を隠したまま非通知や匿名で実行できる「電話によるカスハラ」です。

そこで今回は、電話によるカスハラの実態調査や予防・解決に有効な対策について解説していきます。

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは?

カスタマーハラスメント(Customer harassment)とは、文字通りお客さまであるカスタマーから企業が受けるハラスメントのことです。

お客さまの発言・行動が正当なクレームの域を超え、社会通念上において不当な要求をするなど、「嫌がらせ」に相当する場合はカスタマーハラスメント、通称カスハラに該当します。

ちなみにNHKの報道によると、厚生労働省は以下3つの要素をすべて満たす行為をカスハラと定義づけています。

▽顧客や取引先、施設利用者、そのほかの利害関係者が行うこと、

▽社会通念上相当な範囲を超えた言動であること、

▽労働者の就業環境が害されること

引用:NHK NEWS WEB

カスハラの事例

以下は、カスハラの一例です。

  • 電話で1時間以上拘束する
  • 些細なミスで「いますぐ来い」と呼び出す
  • 大声で怒鳴る
  • ブス、ババア、ジジイ、アホなどの暴言
  • SNSで拡散すると脅す
  • 複数人でスタッフを囲み、威嚇する
  • 土下座を要求する
  • 従業員に暴力を振るう
  • セクハラまがいの言動・行動をする
  • 担当者を解雇しろと要求する
  • 合理的な理由なく、金品を要求する
  • 不合理な特別待遇を要求する

「お前じゃ話にならないから上司を呼べ!来るまで帰らないぞ」などと言って店舗に居座るのもカスハラにあたります。

カスハラの実態調査

まずは、厚生労働省が主導した職場におけるハラスメント実態調査(令和5年度)の調査結果をご覧ください。

出典:令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書

上記の通り、過去3年間でカスハラについて相談があった企業の割合は、1位のパワハラ、2位のセクハラに次いで3番目に多い27.9%という結果でした。

さらに以下のグラフで分かる通り、過去3年間で最も相談件数が増加していたのは、23.2%のカスハラだったのです。

出典:令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書

電話によるカスハラの実態調査

この章では、電話によるカスタマーハラスメントについて以下の3項目に分けて解説していきます。

  • 電話やメールでカスハラ被害を受ける割合
  • 電話によるカスハラ被害を受けやすい業種
  • 電話によるカスハラの特徴

電話業務においてカスハラ対策を実施するには、上記のファクトデータを把握しておくことが重要です。

では早速、順番に見ていきましょう。

電話やメールでカスハラ被害を受ける割合

以下のグラフは、実際にカスハラ被害を受けた場所を表しています。

出典:令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書

もっともカスハラ被害を受けやすいシーンは「通常就業している場所」で60.7%、2番目に多かったのは「電話やメールなどの応対時」で、38.1%という結果でした。

電話によるカスハラ被害を受けやすい業種

まずは、トビラシステムズ株式会社が2024年7月に実施した「電話によるカスタマーハラスメントに関する調査レポート」の結果をご覧ください。

出典:トビラシステムズ株式会社 電話によるカスタマーハラスメントに関する調査レポート

上記の通り、もっとも電話によるカスハラ被害を受けていた業種は「サービス業」で17.4%、次いで「医療・福祉」が14.7%、「卸売業・小売業」が14.1%という結果でした。

ただし、程度の差はあるものの幅広い業種が被害にあっている現状を踏まえると、あらゆる企業にとって電話によるカスハラ対策が必要だと言えます。

電話によるカスハラの特徴

以下は、電話で受けたカスハラの内容を調査した結果です。

出典:トビラシステムズ株式会社 電話によるカスタマーハラスメントに関する調査レポート

もっとも多かったのは「暴言」で65.3%、次いで「長時間にわたる電話」が55%、「繰り返しにわたる電話」が39.6%という結果でした。

電話によるカスハラはお客様にとって対面よりもハードルが低いうえ、激高されやすいのが難点。

口頭のみのやり取りなので、後々「言った」「言わない」と押し問答になるケースが多いのも、電話によるカスハラの特徴です。

企業が自社のスタッフを守るには、通話を録音するなど「記録」を残しておくことが有効なカスハラ対策となります。

厚生労働省が企業にカスハラ対策を義務づける方針を決定

厚生労働省が全国の7,693社を対象に実施した調査によると、「カスハラ対策を行っているか」という質問に対し、全体の55.8%が「特にない」と回答していました。

国内における現状を踏まえ、厚生労働省は企業にカスハラ対策を義務づける方針を決定したと、2024年11月26日づけで発表しています。

この方針に関する法案は、2025年度の通常国会に提出される予定です。

ちなみに、令和6年6月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2024」でもカスハラ対策の必要性について言及されており、以下の一文が明記されています。

カスタマーハラスメントを含む職場におけるハラスメントについて、法的措置も視野に入れ、対策を強化する。

引用:経済財政運営と改革の基本方針2024

地方自治体のカスハラ対策に関する動向

企業に対するカスハラ対策の義務付けはスタートしていませんが、いくつかの地方自治体では前倒しで一定の対策を講じています。

一例として、以下3つの自治体が実施しているカスハラ対策について見ていきましょう。

  • 東京都のカスハラ対策
  • 北海道のカスハラ対策
  • 三重県のカスハラ対策

東京都のカスハラ対策

2024年10月4日、東京都議会は全国で初めて「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例(東京都カスハラ防止条例)」を可決・成立させ、2025年4月1日から施行すると発表しました。

東京都カスハラ防止条例の主な骨子は、以下の4点です。

  • カスハラの一律禁止
  • カスハラ防止に関する基本理念
  • 各主体(都・顧客等・就業者・事業者)の責務
  • カスハラ防止指針の作成・公表

ただし、今のところカスハラに対して罰則規定は設けられていません。

とはいえ、カスハラが違法であると条例に明記されたことで被害の減少が期待されています。

北海道のカスハラ対策

東京都に次ぐ2番目の事例は、北海道のカスハラ対策です。

2024年11月26日、「北海道カスタマーハラスメント防止条例」が北海道議会第4回定例会において全会一致で可決・成立しました。

東京都と同じく罰則のない理念条例ではあるものの、被害の抑止・減少が期待されているのはもちろん、初めて議員提案のカスハラ防止条例が成立した事例としても注目を集めています。

これに伴って設置された「北海道カスタマーハラスメント対策推進協議会」は、道や市町村だけで構成するのではなく、事業者・関係機関・その他の関係者も参加することで、行政主導の施策よりも踏み込んだ条例になっているのが特徴です。

三重県のカスハラ対策

2024年12月25日、三重県の桑名市議会本会議にて「桑名市カスタマーハラスメント防止条例案」が賛成多数で可決されました。

この条例は2025年4月に施行される予定になっていますが、同姓同名の市民との混乱をさけるべく、カスハラ行為者の個人情報をどこまで公表すべきかを同年2月頃まで模索するとアナウンスしています。

ちなみに、三重県としては以下2つの組織を立ち上げてカスハラ防止に努めています。

  • 三重県カスタマーハラスメント防止対策推進本部
  • 三重県カスタマーハラスメント防止対策検討懇話会

電話業務におけるカスハラ対策8選!

電話業務におけるカスハラ対策として、以下の8つがあげられます。

  1. すべての通話を録音して証拠を残す
  2. カスハラへの姿勢を明確にする
  3. カスハラへの対応方法や手順について、マニュアルを作る
  4. 正当なクレームとカスハラを区別できる仕組みを作る
  5. 従業員に対して社内対応ルールの教育をする
  6. クレームを社内で共有する
  7. カスハラ被害を受けたスタッフに対し、相談窓口を設ける
  8. 弁護士に依頼できる体制をつくる

とくに、カスハラ被害を受けた際にスタッフと企業の両方を守るために最も有効で、なおかつ導入しやすいのが1番の「全通話録音」です。

電話によるカスハラは以下のような傾向が強く、対面の威力妨害と違って目撃者もいません。

  • 非通知や匿名でかけてくるお客様が多い
  • 対面よりもハードルが低い
  • 背景や事情を把握しにくい分、長期化しやすい
  • 声のみのやり取りで、誤解を生みやすい

だからこそ、「相手の不当性」と「自社の正当性」を証明するには、唯一無二の「証拠」となる全通話録音が不可欠なのです。

着信時に「この通話はサービス向上のために録音しております」といったアナウンスを流すだけでも、カスハラの抑止力となります。

ちなみに、全通話録音は2024年11月1日付けて施行されたフリーランス新法の対策としても有効な手段です。

個人事業主と発注企業の双方にとって身を守る武器になりますので、ご興味のある方は以下の記事をご一読ください。

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全通話録音なら「03plus」におまかせ!

03plus

お客様との通話を漏れなく録音するなら、ビジネス向けPBXとして人気の「03plus」がおすすめです。

スマホから発着信できる市街局番付きの固定電話番号が取得できるうえ、何よりカスハラ対策として有効な全通話録音機能が充実しています。

  • 1番号あたり 4,000円/月(税抜)ですべての通話が自動録音される
  • 録音データはクラウドサーバ上に30日間保管されるので、録音機器もスマホのストレージも不要
  • データ容量も通話の長さも制限ナシ
  • 録音データは通話終了から約15分後に管理ページへ反映
  • データのダウンロードや不要データの一括削除も可能

03plusの全通話録音機能なら証拠を漏れなく残しておけるため、事実確認が手早くできるのはもちろん、裁判沙汰になっても有利に戦えるでしょう。

なお、03plusの詳細については以下の記事にて詳しく解説しております。

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まとめ

カスハラは日本の社会問題であり、あらゆる企業がリスクに晒されています。

だからこそ厚生労働省は、すべての企業にカスハラ対策を義務付ける方針を決定したのでしょう。

とくに電話でのカスハラは非通知や匿名で行えるうえ、顔バレしないという特異性から対面よりも大胆になるお客様も少なくありません。

電話業務におけるカスハラ対策として、最も有効かつ導入しやすいのは「全通話録音」です。

カスハラを受けたスタッフはもちろん、企業としての正当性を証明するためにも証拠として全通話を録音しておきましょう。